トリウム原子炉 2011 12 17

 12月15日の新聞の片隅に、
小さな訃報の記事がありました。
「古川和男さん 14日、大腸がんで死去、84歳」
 古川和男氏といえば、
「原発安全革命」という本を書いた人で、
このサイトでも、6月5日に書評として取り上げました。
 古川氏は、私心がなく、
名誉を求めず、金銭も求めず、ただひたすら、
世界のエネルギーの進化のために働いてきたと思います。
そのため、無名戦士として人生を終わったのでしょう。
私は、このサイトに、古川氏の名を残したいと思います。
しかし、古川氏は、きっと、こう言うでしょう。
「私の名前が知られるのは本望ではない。
私の研究が知られることこそ、私の本望である」と。
 聖書には、こうあります。
「平和のために尽くす者は、幸いである。
あなた方は、神の子と呼ばれる」
 世界の人口爆発といえば、多くの人が食糧危機を連想しますが、
しかし、エネルギー危機も連想しなければならない。

二つの原子炉 2011 6 5

書名 原発安全革命
著者 古川 和男  文春新書

 これは、私の思い違いになるかもしれませんが、
私の考えるところを書きます。
 トリウム原子炉が、核兵器廃絶の方法となる。
世界には、二つの原子炉があった。
それは、ウランからプルトニウムというサイクルの原子炉と、
トリウムからウランというサイクルの原子炉である。
 なぜ、前者は繁栄し、後者は廃れてしまったのか。
前者の方法では、核兵器を作るのは容易であるが、
後者の方法では、核兵器を作るのは非常に困難である。
(冷戦時代、大量の核兵器を作るのは急務だった)。
 本書によると、「原発革命」は、次の理由によります。
核燃料は、固体から液体に変える。
ウラン燃料をトリウム燃料に変える。
原発自体を小型化する。
 そもそも、原子炉は、「化学プラント」だから、
燃料の形態は、液体であるべきです。
それを固体にすると、リスクが高まる上に、
設備や装置が複雑で巨大なものになります。
その結果、保守・点検が大変なものにもなります。
液体ならば、固体燃料に比べて、設備や装置もシンプルなものになります。
 液体燃料は、技術的に可能です。
しかし、なぜ、固体燃料を続けてきたのか。
それは、液体燃料では、原子力産業が「儲からない」からだと推定しています。
固体燃料の方が利益率が高いと思われます。
 さて、トリウムのメリットは、他にもあります。
この本では、「トリウムを燃料とすれば、
プルトニウムは、ほとんど生まれない。
それどころか、『トリウム熔融塩炉』でなら、
プルトニウムも炉内で有効に燃やせる」と書いてあります。
 次に、資源の問題を書きましょう。
ウランは、特定の国に偏在していますが、
トリウムは、世界中にあると言ってよいでしょう。
 もうひとつ、人口爆発の問題を書きましょう。
人口爆発というと、食糧危機を連想しますが、
同時に、エネルギー危機でもあります。
人口爆発によって、食糧が不足しますが、エネルギーも絶対的に不足します。
 トリウム熔融塩炉から核兵器を作ることは不可能に近いと思います。
しかも、構造上、テロにも強いのです。
 21世紀の原子炉は、
「液体燃料を使う」、「トリウムを燃やす」、
「小型化する」がキーワードになるでしょう。
「万里の長城」のような送電線は、不要となるでしょう。

























































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